奇跡の男 和泉 勝
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勝 「おれもまだまだ、できるじゃないか」
勝はもう少し沖のポイントで、波のパイプをくぐりたかった。
勝 「よし、いい波だ、レッツゴー!」
勝はすぐにその波をつかまえにいった。
しかし、次の瞬間、ボードで足を滑らせて
勝は頭から海に突っ込んでしまった。
勝 「しまった!」
頭の中では考えられても、もう遅い。
もう渦がおさまるまで、もがくしかすべがなかった。
海の中では、波がつくった渦が勝を海底に引きずり込んでいった。
無意識にボードに乗った状態で流されていたのは幸いだった。
実は勝はこの日、パイプ用にふたつのボードを用意していた。
浜に上げられていたのは、もうひとつのものだ。
見知らぬ港町に上陸した勝だったが、記憶が戻っていなかった。
パスポートの問題も気にせずに生活ができるようになった。