・海都が潮音海岸に帰ってきた日(海都の15年)・
1997年の夏、海都はレールをひかれた一流企業を退社した。
それは大きな決断だった。何かに導かれるようにたどりついた潮音海岸で
少年のこころを取り戻した海都はいっときの夢の世界にいた。
しかし、海都はどうあることが海都なんだろう?ぼくなりの結論です。
この海都編は、前出の「続 ビーチボーイズ」の本編に続きます。
出演者それぞれのスピンオフの15年です。
その日、海都は友人を訪ねてシンガポールにいた。
彼の友人は、総和物産の同期入社の水野一郎という企業戦士だ。
いまは、総和物産からはなれて、ベンチャー企業の社長として、
シンガポールに会社をもっている。。。。。
彼の友人は、総和物産の同期入社の水野一郎という企業戦士だ。
いまは、総和物産からはなれて、ベンチャー企業の社長として、
シンガポールに会社をもっている。。。。。
海都はペナン島でスキューバダイビングのインストラクターの
仕事をしている。
この夏、そこに水野の家族がバカンスで訪れたのだ。
海都の勤めるスキューバダイビングスクールのショップ
海都 「おはようございます」
女社長 「おはよう、海都。
海都の勤めるスキューバダイビングスクールのショップ
海都 「おはようございます」
女社長 「おはよう、海都。
きょうは日本人のツアー客と日本人の家族が一組よ」
海都 「わかりました」
ショプ内のセミナールーム
海都 「みなさん、おはようございます。
海都 「わかりました」
ショプ内のセミナールーム
海都 「みなさん、おはようございます。
きょう一日、みなさんのお相手をします。
インストラクターの鈴木です。
インストラクターの鈴木です。
ルールを守って楽しくやりましょうね」
挨拶をする海都をじっと見つめる男がいた。
海都 「それでは、海のほうに移動してください」
挨拶をする海都をじっと見つめる男がいた。
海都 「それでは、海のほうに移動してください」
ツアー客は立ち上がり部屋を移動しはじめた。ひとりの男が声をかけた。
水野 「おい、鈴木!」
海都 「え?」
海都が振り向いた。
水野 「鈴木海都だろ? おれだよ、水野一郎だよ」
海都 「ああ、水野か。どうしたんだよ」
水野 「おいおい、それはこっちのセリフだろう。
海都 「え?」
海都が振り向いた。
水野 「鈴木海都だろ? おれだよ、水野一郎だよ」
海都 「ああ、水野か。どうしたんだよ」
水野 「おいおい、それはこっちのセリフだろう。
山崎くんをほったらかしてこんなところで何してんだよ」
海都 「うん・・・」
水野 「あ、おれな、いまここにいるんだ。一度あそびにこいよ」
水野 「あ、おれな、いまここにいるんだ。一度あそびにこいよ」
水野は海都に名刺を渡した。海都はその名刺を見つめていた。
(ショップのウィンドチャイムが鳴る。
(ショップのウィンドチャイムが鳴る。
海都を写すカメラが上空からの画像となる)
ふたたび、シンガポールの街。
水野の名刺を持った海都が歩いている。
あるマンションの扉の前でチャイムを押す海都。
水野の妻が扉を開いた。
水野の妻「鈴木さん、いらっしゃい。
あるマンションの扉の前でチャイムを押す海都。
水野の妻が扉を開いた。
水野の妻「鈴木さん、いらっしゃい。
先日は家族でお世話になっちゃって」
海都 「いえ、ぼくも楽しかったです。
あ、これ、ペナンのおみやげなんですけど、どうぞ」
海都 「いえ、ぼくも楽しかったです。
あ、これ、ペナンのおみやげなんですけど、どうぞ」
水野の妻「あら、気を使わなくていいのに・・」
海都 「いえ、どうぞ」
水野が奥から出てきた。
海都 「いえ、どうぞ」
水野が奥から出てきた。
水野 「おお、来たか? あがれよ鈴木。」
海都 「うん、お邪魔します」
水野が海都を居間にまねく。
水野 「いやあ、おどろいたよ。まさか、あんなところで
おまえと会えるなんて思わなかったよ」
海都 「いろいろあってね」
海都 「うん、お邪魔します」
水野が海都を居間にまねく。
水野 「いやあ、おどろいたよ。まさか、あんなところで
おまえと会えるなんて思わなかったよ」
海都 「いろいろあってね」
水野 「大崎部長からは、いや今は専務らしいけどね、
おまえは民宿のおやじやってるって聞いてたからさ」
水野の妻がビールを運んできた。
水野の妻「鈴木さん、きょうはお酒飲んでもいいんでしょう?」
海都 「はい、いただきます」
水野 「ほら」
水野が海都のコップにビールをついだ。
水野 「まあ、いっぱいやろう」
海都 「一緒に飲むのは3年ぶりかな」
ふたりはしずかに乾杯した。
水野の妻「鈴木さん、きょうはお酒飲んでもいいんでしょう?」
海都 「はい、いただきます」
水野 「ほら」
水野が海都のコップにビールをついだ。
水野 「まあ、いっぱいやろう」
海都 「一緒に飲むのは3年ぶりかな」
ふたりはしずかに乾杯した。
水野 「それで?おまえはなんでペナンにいたんだ?」
海都 「ああ、イルカの捕獲とかの仕事もしてたんだけどね」
水野 「ええ?なんだそれ?」
海都 「東京のデパートで海の中の写真展を見る機会があってね。
やってみたくなったんだ。スキューバダイビング。
それで、その写真家のひとに聞いたら、
海都 「ああ、イルカの捕獲とかの仕事もしてたんだけどね」
水野 「ええ?なんだそれ?」
海都 「東京のデパートで海の中の写真展を見る機会があってね。
やってみたくなったんだ。スキューバダイビング。
それで、その写真家のひとに聞いたら、
一緒に来ないかと言われて、ペナン島にいくことになったんだ。
女性の写真家なんだけど、それがいまの社長」
水野 「そうかあ、それで、山崎くんとは連絡取ってるのか?」
海都 「ときどきね」
水野 「それじゃあ。山崎くんがかわいそうだな」
海都 「え?」
水野 「山崎くんだって、このままじゃあ いけないだろう?
結婚するとか、別れるとか、はっきりしてあげないとな」
海都 「さくらはわかってくれてます」
水野 「なにをわかってくれてるんだ?おまえは甘ったれてるんだよ。
山崎くんはいくつになったんだよ、
水野 「そうかあ、それで、山崎くんとは連絡取ってるのか?」
海都 「ときどきね」
水野 「それじゃあ。山崎くんがかわいそうだな」
海都 「え?」
水野 「山崎くんだって、このままじゃあ いけないだろう?
結婚するとか、別れるとか、はっきりしてあげないとな」
海都 「さくらはわかってくれてます」
水野 「なにをわかってくれてるんだ?おまえは甘ったれてるんだよ。
山崎くんはいくつになったんだよ、
おまえの気まぐれを待てる年か?
だいたい、おまえがなりたかったのは民宿のオヤジや
だいたい、おまえがなりたかったのは民宿のオヤジや
潜りの先生だったのか?
入社したときはお互いに同じ夢を見てたよなあ」
海都はそう言われて、くちびるをかみしめた。
海都の胸のどこかに会社での自分の夢がくすぶっていた。
水野はそれを揺り起こす役目を担ってしまったようです。
2話につづく