広海 「この飛行機は石油王のものですか?」
石油王 「そうだ。プラントの事業などの視察に使っている。
あとは、買い物とバカンスに使うよ。
広海 「へえ、かっこいいなあ」
石油王 「いま飛び立った空港もわたしのものだ」
広海 「なんでも手にはいっちゃうっていう感じなのかな?」
石油王 「あそこに見えてきたのが、わたしのホテルだよ」
広海 「これは・・砂漠の都会だ!高層ビルですね」
石油王 「このあたりは、以前は広い砂漠地帯だった。
広海 「え、じゃあ、このプールみたいな水は
石油王 「地下に広大な貯水槽があるんだ」
広海 「人間ってすごいね。なんでも可能にしちゃうんだね」
石油王 「この国も、うつくしい光景の国に生まれ変わるんだ」
広海 「あらららら~、まるでサンダーバードの基地みたいだね」
石油王 「サンダーバード?その車が欲しいのか?」
広海 「あれ?小さいときテレビでみなかった?」
石油王 「最近は日本のドラゴンボールをやってるが、
広海 「あいつがいれば、この話でもりあがれるんだけどなあ・・・」
(海都 「ハックショ~ン!!あれ?風邪ひいたかな?」)
広海 「でも、これは自然じゃなくて、人が造った美しさなんですね」
石油王 「わたしが子供の頃には考えられなかったな」
広海 「人間はもうすぐ月にまで住むようになるんだろうね」
石油王 「どうだい、この国が気に入ってもらえたか?」
広海 「すごいと思う」
石油王 「いま、先進各国の頭脳がこの国の発展のために
もちろん、日本からのプロジェクトもきているよ。
かれらは、砂漠地帯を人工的なリゾート地にするという
広海 「へえ、日本人もすごいことをやってるんだね。
でも、こんなことを考えるやつの顔がみてみたいね」
(海都 「ハ、ハ、ハクショ~ン!!!」)
もう気づかれている読者も多いと思いますが、
もちろん、広海がそれを知る由もなかった。
こんなことを考えるやつの顔とは、鈴木海都の顔であった。
これだけの財があれば、なにもできないものはない」
広海 「え、何もできないものはない・・・?」
広海は、石油王の言葉に違和感を感じていた。
しかし、いまそれを言うのは得策ではないということを
これをそっとしておいて関わらないほうがいいと
広海はこれをほうってはおけない性格だった。
いつか、金で買えないものもあるんだと、
広海 「あのう、おねがいがあるんですけど」
石油王 「何でも聞くぞ」
広海 「せっかく、この国に来たんだから、
お屋敷で、じっとしていてもしょうがないし・・・」
石油王 「きみは娘の婚約者なんだから、なんにもしないで
広海 「働きたいんですよ、無性に・・、それも体つかう仕事を」
石油王 「そうか、これはきみの願いごとではなく、
広海 「それはどうも、ありがとさんです。シャー!」
広海は、石油プラントではなく、
それも、ホテル内のレストランバーをまかされた。
その看板ができて、取り付けが行われている。その看板をみて。
広海 「あれえ?なんかサイパンに似てない?(笑)
ボーイ 「ボス、ダイヤモンドヘッドってなに?」
広海 「あのねえ、みんなが楽しく集まる汚い民宿って
ボーイ 「民宿?ほんとう?」
広海 「え?まあ、ハワイのほうにもあるんだけどォ、
ボーイ 「イェス サー」
広海 「フー」
いつもの広海のため息が出た。