これは父が弓道に関わっていたので、公には出来ず我慢と忍耐で押さえてきましたが父が他界し、宿も道場も壊し、もう何も遠慮することはないので書いてしまいます。旅館をしていた父母が入院した6年ほど前の話です。弓道合宿の常連校もあったので、弓道関係の方にはご迷惑が掛からないように僕が旅館の留守を任されていた時の話です。


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春と夏以外は宿泊客が少なくなりました。そんなある日電話がかかりました。6年ほど前の話です。
「あ、上野の五〇天〇社弓道部の〇〇だけど」
「お世話になっています」
この〇〇氏は企業の弓道部の合宿にも指導でうちの旅館に来られる日本弓道連盟の名誉会員の名刺をお持ちの方で、普段は台東区のかわいい名前の神社の神主さんらしい。五〇天〇〇弓道部は立派な歴史ある会で、彼の後、数年前は妹さんがまとめていると聞いていましたが、現在は代替わりかな。

「うちの合宿の前に、ふたりでそこに泊まりたいんだけど!」
「あ、ありがとうございます。弓道場も使われますか?」
「うんん、その時は使わないの。安房神社に用があって行くの」
「いつの宿泊になりますか?」
「1週間後の土曜日だけど、あいてる?」
「はい、お取りしておきます。ありがとうございます」

母が入院していた時で、僕が他の仕事に勤務しながら母の旅館を週末はやっていました。僕の携帯には旅館の予約電話もつながるようにしてありました。この予約が入った日の深夜11時、〇〇から電話が来た。
「さっき電話をした〇〇だけど」
「はい」
「おたく活きづくりとかあったよね?」
「はい、お値段に応じてご用意しますが3000円からご用意できます」
「うん、じゃあさ、1万円くらいで用意して、お酒も良いのを用意しておいてね」
「はい、わかりました。お二人用でしたね?」
「うん、じゃあね」

ここまではよかった。。。。。
次の日の深夜、僕の携帯がまた鳴った。仕事が終わって寝たばかりだったので飛び起きた。
「五〇天〇社弓道部の〇〇だけど」
「はい」
「あのさあ、そこのまわりでさ、なんか遊べるとこある?」
「あそべるところ?」
「そうそう、二人で行って、楽しいとことかない?」
「いまゴルフ場がお二人でも回れるようですが、ゴルフはどうですか?」
「ゴルフ?いいね。聞いてみるけど取ってもらっていい?」
「はい、決まったらお電話ください」
「他には?」
「釣りとか城山とかですかね」
「じゃあね」と切られた。

この電話なんだろう?と思って眠りについた。
次の日も、仕事は午後8時で終わって夕食を食べて早めに眠ってしまった。すると、また夜11時過ぎに携帯が鳴った。
「五〇天〇社弓道部の〇〇だけど」
「はい、こんばんわ」
「あのさあ、ゴルフは。。いいや。ほかに名所とかあそべるとこはないの?」
「はい、思いつきません。どんなものがいいものか」
「ないの?ないの?考えといて!じゃあね」

こういう電話が予約の日まで、次の日も、また次の日も、毎日かかってきた。遠足前の子供みたいだと思った。そして、深夜の電話に悩まされる1週間が終わり、この二人がやって来た。〇〇とやって来たのは、派手な化粧の背の高いスタイルのよい女性でした。〇〇よりも背は高く感じた。神主さんの奥様にしては、僕にはわかるけどお水の感じのする女性だと思った。

「明日のご予定は?」
「昼前に安房神社の車が迎えに来るから、それで安房神社に行く」
「はい、わかりました」

お二人は午後はどこにも行かずに部屋に閉じこもっていました。夕方、お風呂と食堂をご案内すると、お酒と料理のお注文を追加されて、部屋に持って行くとお酒と料理つまみをお持ちになって夜を迎えました。部屋から聞こえる大声は近所にも響き渡る声でしたが、それ以来は〇〇は帳場に降りてくることはなかった。遅くまで居てもらった板前さんにお礼を言って就寝した。
そして、日曜の朝を迎えることになる。