潮騒が聞こえる〈BEACHBOYS1997〉

たそがれ時を過ごす場所。Costa del Biento / Sionecafe

春樹

春樹の砂の船

この布良の浜に現れた砂の船を覚えていますか?
そうそう、これはビーチボーイズのロケで春子さんの息子春樹君の為に
広海、海都を始めみんなで作った砂の船でしたねえ。

これはクイーンエリザベス号なんですよ。
実は、フジテレビのスタッフの要請で、秋田県の八竜町からやってきた
「サンドクラフト’97in八竜」の専門家の人たちが泊りがけで作ったもの。
制作過程の写真を「ビーチボーイズを語り継ぐページ」に頂きました。
当時の事務局長の金子さん、ありがとうございました。
サンドクラフトのみなさんは、白浜の清都に宿泊したそうですが、
反町、竹野内、広末、稲森、マイク真木さんらは、安房自然村ではなく、
清都に滞在していたので、サンドのスタッフは出演者に
会えるのを楽しみにしていたそうです。実際は東京のスタジオ撮影の日で
あえなかったようです。砂の船が出来てからは数日の間、
台風や雨が降らないように神頼みに行っていたようです。

ちなみに、春樹とその父がタクシーで見送られるシーンを見ていましたが、
ものすごい見物客の人数でした。中には広海や海都、広末さんをカメラで
撮っていた若者たちがスタッフに退場させられることもありました。


bb2

続ビーチボーイズ第2話

BSフジで始まったビーチボーイズ再放送も、
きょう5時から、第6話、第7話の2時間放送です。
前半の明るさだけの内容から、後半は出演者たちが
自分の抱える問題を解決していく内容に入りますね。


僕の妄想で書いた続編も、第2話を。。。
早く読み切りたい人は、右のカテゴリーの続ビーチボーイズ、
そしてそれぞれのスピンオフをご覧ください。

第2話・・・・・・・・・・・
 
のどかな九重駅のホーム。東京からの各駅停車がホームに入ってきた。
電車から降りてくる海都。降りる人はほとんどいない。
無人駅、誰もいない改札を抜けて駅前に出る。
駅舎をふりかえり、あのころの面影を探すが、
すっかり変わってしまった駅舎を不思議そうに見上げている。
駅前に蓑田タクシーを捜すがいない。口だけ微笑んで歩き出す海都。
あの日と同じバッグをかつぎ、サングラスをかけなおす。

駅から、歩き出す海都に「タイトルバック」がかぶる。
主題歌が流れ、オープニングとなる。
 
イメージ 1


 海都が歩いていると、道端に車が止まっている。
あの日、初めてここに来た時に蓑田タクシーから広海の押す
ルノーキャトルを見つけた場所だった。
海都が近付いたときだった。
きれいな女性が声をかけてきた。
 
女性A「あ、すいません。
   ガソリンが切れちゃって、一緒に押してくれませんか?」
海都 「まさかあ? 」
ポカンとあっけにとられていた海都だったが、
あの日のイメージを取り払うかのように、笑いながら首を大きく振った。
 
海都「いいですよ。でもスタンドまでですよ」
独り言で、夢のカリフォルニアなんて言われたら、
まんまジャンとつぶやく海都だった。

歩いていた海都が、白間津の広海カーブに着く。
あの日、広海と海都が別れた場所だ。
そこから、海に出る。
海都はあの日の広海のように、腕時計をはずし、
時計を海に向かって投げた。
海都の高価な時計が、小さな水しぶきとともに海の中に沈んでいった。
 
海都「『やっぱ、夏は海だね』か・・」
 
ひとりでニヤニヤしている海都だった。
海都の斜め後ろの民家から、白衣の男がでてきた。
 
祐介「おばあちゃん、じゃあまた来週入れ歯の調整にくるからね、どうも。」
民家の人「どうもありがとうございました。」
 
民家から送り出される男は祐介だった。
かつて真琴の同級生で、海都の家庭教師を受けたことのあるあの祐介だった。 
振り向いた祐介の目に海都の姿が飛び込んできた。
 
祐介「え?か・い・とさん?」
駆け寄る祐介を不思議そうに見ている海都。
 
祐介「海都さ~ん!! 海都さんでしょ!」
海都「あれ?祐介か? どうしたんだ、そのかっこ?」
祐介「どうしたもこうしたもないですよ、海都さん。
   どこで何してたんですか?連絡もくれずに」
海都「ごめんごめん」
 
思わずこみ上げるものに泣き出す祐介。
祐介「本当にどうしてたんですか?逢いたかったですよ。」
海都「しっかし、祐介こそ、その白衣?どうしたの?」
祐介「はい・・?」

イメージ 1
 

※ 1997年のドラマのオンエア時に発売された小説本の
「ビーチボーイズ」には、その後のことが少し書かれていて、
祐介は歯科医師となっているということで、歯科医師として
登場させています。
 
祐介の開設する歯科医院の一室である。
海都のためにコーヒーをいれる祐介。
 
祐介「まあ、コーヒーでもどうぞ!」
海都「へえ、あの祐介がねえ。歯医者?へえ~、頑張ったんだねえ」
祐介「そうですよ。海都さんに家庭教師やってもらったし、バッチリ!」
海都「へえ、世の中っておもしろいねえ。」
 
祐介「それより海都さんですよ。どうしてたんですか?」
海都「ああ、おれ? おれはもう一度、会社へ戻ったんだ」
祐介「前の会社ですか?」
海都「そう、部長とさくらが俺の居場所を用意してくれててね。」
祐介「自分も、それがいちばん海都さんに合ってるなあと思っていました。
だから、あのとき、会社辞めてきたって聞いたときに
  『海都さんらしさ』ってよい上司や仲間に囲まれて活躍しているのが、
  らしさなんじゃないのかなって思ってました」
 
海都「へえ~、祐介はいまいくつ?」
祐介「はい、32歳です。」
海都「32かあ、あのころの俺たちよりも年上なんだあ。
   おとなになったね。」
 
祐介「海都さんに、そんなこと言われるなんて・・・」
海都「あいつはきっと、変わらないんだろうなあ?」
祐介「あいつ?あいつってあの人のことですか?」
 
海都と祐介が目を合わせて、同時にプッと吹いて笑い出してしまった。
なぜかあいつの話題になると笑いが止まらない。
ふたりの大笑いが祐介の歯科医院のなかに響いていた。
 
祐介「ところで海都さん、海都さんはなんでここにいるんですか?」
海都「うん、中東の方に長く出張しててさ、やっと日本に帰って来れたから。
   行ってみようかなって思ってさ、ダイヤモンドヘッドに。
   みんな、元気なの?」
祐介「海都さん、何も知らないんだ。もう民宿はあそこにはないんですよ。」
海都「えっ?じゃあ、春子ちゃんは?真琴ちゃんは?」
祐介の話す事情に、海都は聞き入り、祐介に質問をあびせた。
そんな一夜をふたりは過ごすのでした。

朝、潮音海岸に向かう海都が祐介の家で送られている。
海都 「すっかりお世話になっちゃったね。ああ・・そうだ。
    祐介は結婚してるの?」
祐介 「海都さんや広海さんにもあやまらなくちゃいけないんですけど。
    おれ、結果的に真琴ちゃんを守れなかったので・・」
海都 「祐介のせいじゃないって。あんまり気にするな。」
祐介 「もうひとつ、海都さんに報告があるんですけど・・」
海都 「なに?」
奥の扉を開けて、赤ちゃんを抱いた女性が出てくる。

海都 「裕子ちゃん?」
祐介が照れながら、こっちに来いと手招きをする。
祐介 「じつは、裕子と結婚しまして、赤ちゃんが。」
海都 「あ・あ・そうかあ。そうだったんだあ。
    おめでとう!祐介裕子!」
裕子 「あ、その言い方、気になるんですけど。売れない漫才師みたいで」
ハハハハ(笑)
海都は赤ちゃんを見ながら、頭を掻き掻き照れくさそうに
二人を祝福した。

海都がスナック渚まえに歩いてくる。
スナック渚の建物はなく、売り地の看板が立っている。
白いベンチに腰掛けて、たばこを取り出す海都。
海都 「春子ちゃん、どこに行っちゃったんだろう?」
ベンチにすわる海都の後ろ側を春樹がすれちがっていく。
振り向いた春樹は海都の手にある煙草に気づく。

春樹 「火をつけましょうか?」
海都 「ああ、ありがとう。」
隣に座る春樹もたばこを吸う。(春子と同じセーラムライト)

海都 「観光ですか?」
春樹 「いえ、知り合いを訪ねてきました。あなたは?」
海都 「ええ、まあ同じような旅です。知り合いには逢えましたか?」
春樹 「いえ、ここにはいませんでした。でも、不思議なんです。
    ぼくは、初めてここに来たつもりなんですが、海岸に行くと
    なつかしいような、以前小さいときにここにいたような、
    そんな気がしました。」
海都 「へえ、きっとその知り合いの方がいい想い出を
    君に残しているのかもしれないですね。
    逢えるといいですね、その方に。」
春樹 「ありがとうございます。
    外国が長かったんで、ここにくるのも不安だったんですが、
    みんないいかたで、ここでもあなたのようないいかたに会えた」
海都 「ハハハ、そう思ってもらえればうれしいな。
    実はぼくも海外出張が長くて、久しぶりの日本なんですよ。」
春樹 「そうだったんですか。どちらに?」
海都 「ドバイです。中東のプラント事業でね。」
春樹 「ぼくも父の会社が中東の支社だったので、
    子供の頃から行ってました。」

海都はピンときて、われにかえったように青年に聞いた。
海都 「え?失礼ですけど、いまおいくつですか?」
春樹 「20歳です。」
海都 「名前は?」
春樹 「吉永春樹です。」
海都 「春樹? 春樹くん?」
不思議そうな顔の春樹の肩をつかんだ海都。
海都 「そうかあ、君が春樹くんか。そうかあ。」

          つづく

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続 ビーチボーイズ 第1話

1997年の夏、フジテレビの月9ドラマ「ビーチボーイズ」は、
月9ドラマとしては、初めて恋愛テーマではなく、誰もが通る
夏の甘くほろ苦い季節の少年のこころをテーマにしたものでした。
館山の布良にオープンセットを建てて、3ヶ月間ロケ隊が滞在して
ほとんど同時収録に近いスケジュールでロケが行われていました。
 
ぼくらの夏はまだ終わってはいない。
ぼくらの中では、まだあのドラマが完結してはいないのです。
あのドラマのつづきを書いたのは何年か前でした。
 
 
 
 イメージ 1
 
続 ビーチボーイズ 「春樹が潮音海岸にやってきた」
 
第1話
 
かれらの夏がまたやってくる。潮音海岸という磁場に引き寄せられて
ばらばらに散っていたあの夏の主役たちが、この海岸にいる。
それは、伝説の夏に終止符を打つために。
 
ここは潮音海岸の砂浜。
風に飛ぶ砂の向こうに潮音の波が寄せている。
「ザクっ」
スニーカーがその砂を踏みしめた。
春樹が潮音海岸にやってきたのだ。
  春樹は稲森いずみさん演じる春子の息子。
会社を継ぐ夫の立場で、離婚させられた春子だったが、
一人息子の幼い春樹と民宿ダイヤモンドヘッドで過ごす機会があった。
春樹は再婚した夫と新しい母とともに外国へ行ってしまう。
春子は、いつか春樹がこの民宿を思い出し、訪ねてくれると期待する。
詳細は発売されているDVDビーチボーイズ」を見てください。
 
しかし、ここにはもうダイヤモンドヘッドの建物はない。
海のほうに目を向けると、熟年の男がふたり、岩場で釣糸をたらしている。
春樹は尋ねた。
春樹「すいません、ここに民宿があったと聞いてきたんですが?」
蓑田・こうぞう「え?」
 
と、同時にふたりがふりむく。
タクシーの蓑田と郵便配達のコウゾウだ。

こうぞう「5年位前まではあったよ。ね、キャプテン。」
蓑田  「ああ、民宿ダイヤモンドヘッド・・、15年くらい前だった。
    若いのが二人来てナァ、かっこよさでは負けてたけど、
    ビーチバレーでは俺たちのほうが強かったよな!」
こうぞう「そうそう、キャプテンがレシーブしたのを
     俺がパーンと決めてね!」
バシ!こうぞうの頭を平手で叩き、蓑田は言った。
蓑田「バカ!おまえがレシーブしたのを俺がかっこよく決めたんだよ!」

ふたりがじゃれるようにもめているのを見ていた青年は、忘れられていた。
春樹「あのう・・・、それでその民宿は?どうなったんですか?」

蓑田「ダイヤモンドヘッド? いい民宿だったよなあ。
  15年位前に経営者が海で行方不明になってさ、
  そのあと何年か経営者の孫娘と知り合いの女性がやってたんだ。
  でも5年前に孫の方は母親のところに戻って行ったなあ。」
こうぞう「そうそう、真琴ちゃんもこの民宿を壊すとき、
   泣いててかわいそうだったね。想い出もたくさんあったからさあ」
蓑田「春子ちゃんも、俺らに店をまかせて、
   この民宿を頑張ってきりもりしてたもんな。
   ここやめる時もここを残さなっきゃいけないって、
   大騒ぎだったよ。」

話していた蓑田とこうぞうが、斜め後ろの春樹を同時に振りかえった。
そして、ふたりは同時に言葉を発した。

「ところで、あんただれ???」
 
     第2話につづく

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