BSフジのビーチボーイズ再放送も、いよいよ終盤。
こころさみしい夏の終わりをむかえます。きょうは10話と11話です。


それではぼくの続編も第7話です。



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突然、潮音海岸に通じる細い坂道を
2台の黒塗りの大きな車がおりてきた。
そして、民宿の跡地前の砂地に車が止まった。
運転手がおりてきて、うしろのドアをあけた。
中から出てきたのは、
アラブの石油王と数人の民族衣装に身を包んだ男たち。

石油王アリ 「ここかね?きみがいつも話してくれる海は?」
謎の日本人「ええ、ここに木造のきたない民宿が建ってたんですけど、
       汚いけど、俺にとっては宝みたいなものなんですよねえ」

石油王アリ 「それで、願い事は・・?」
謎の日本人「はい、ここに以前建っていたような民宿を建てて欲しいんです」

石油王アリ 「それで、きみはどうするつもりかね?」
謎の日本人「ここで、暮らしたい。民宿をして」

石油王アリ 「私の娘はさみしがるぞ。戻る気はないのか?」
謎の日本人「はい、ここがおれの海だから・・・」

石油王アリ 「そうか、しかたあるまい。
        あいわかった。きみの望みをかなえよう。
        わたしにとってはたやすいことだ。
        いまこそ、娘の命の恩人に恩義を返すときだ。」
謎の日本人「ありがとうございます」
謎の日本人は、深く深く頭をさげた。

そのようすを遠巻きに見守っていたみんな。
真琴  「美智恵さん、この人たちって、
      昨日のニュースで見た人たちじゃない?」
美智恵 
「ああ、あのアラブの石油王?」

勝   「石油王だかなんだか知らないが、この海になにしにきたんだ?」
海都  「社長、おれ、聞いてみます」
ドバイに長期出張していた海都が声をかけた。

海都  「サラマライクン・・・」
アラブの衣装の男たちの中のひとりが、後ろを向いたまま答えた。
謎の日本人「え?ナンテイッタンデスカ?ヨクワカリマセン」
海都  「え?」

謎の日本人が海都のほうを振り返った。
親指と人差し指をピストルの形にしてあごの下にもってくるしぐさ。
ニカッと笑っている。

海都  「ああ!あいつ。。桜井広海」
広海  「あ・あ・あ(笑) わかっちゃったの?」
海都  「(大きくためいきをつき、右手でひたいをおさえて)もう!」

広海  「ハロー、みんな!元気だったァ?」
海都  「きっとあんたは普通じゃないとは思ってたけど・・
      こんどはなに?」
真琴  「なにやってるの?ば~かみたい!」
広海  「あ~~~、なっつかしいね!!そのフレーズ」

勝   「おまえ、そのかっこはなんなんだ?」
広海  「え?・・っていうか、社長!??何で生きてるの?」
勝   「なんだよ、人をおばけみたいに・・」
広海  「だってだって、お葬式までやって、お墓までつくったんだよ」
勝   「そうだったのか?迷惑かけたな。
     おれのことは話せば長くなるからな。機会があったら話す」


広海  「まあ、おれのこともォ、話せばすっごく長くなるからァ、
     今晩話してあげるからねえ。鈴木海都、きょうは寝かせないよ」
海都  「聞きたくないね。あんたといるとろくなことないから、帰るよ。」
広海  「そんなこといわないで、ねえねえねえ!」
胸から海都にせり寄っていく広海。

真琴  「へえ、あいかわらず、なかいいんだねえ(笑)」
広海  「そうそう」
海都  「言っとくけど・・」
広海・真琴「(声をあわせて)おれは客だからぁ♪」
ハハハハ、ハハハハ♪みんながおもわず笑ってしまった。
 
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広海  「そうそう、みんな! いま、話は決まったから、
     この人たちが、ここにもう一度民宿ダイヤモンドヘッドを
     建ててくれることになったから、みんなで、また楽しくやろうよ。」
勝   「おれはサーフィンやりたいんで、またメキシコに戻るからな。」

真琴  「おじいちゃん!もう子供も小さいんだから、危険なことはしないで」
広海  「え?子供って?」
真琴が砂の船であそぶ子供を指さす。
サングラスをずらして、青い目の子供をみて、指で子供と勝を指さして、
真琴に確認するようにアイコンタクトをおくる広海。
真琴  「(小さな声で)うん」

広海  「え?え?え?このおやじ、人に心配させて何してたんだよ」
勝   「(真琴を横目に、人差し指を立てて)しー!」
真琴  「え?・・ていうか、私32歳なんだけど」
勝   「ええ?まことは32歳なのか?結婚は?」
真琴  「まだしてませ~ん」

広海  「ねえねえ真琴、おまえ牛乳飲んだ方がいいよ」
真琴  「なんで?」
広海  「だって、乳が大きくなるから」
真琴  「進歩ないんだから、バ~カ!」
みんなに明るい笑顔が戻った。

その日の午後、久しぶりにみんなで、潮音海岸でバーベキューをしている。
肉の焼け具合を見ていた勝が言った。

勝   「よし、もう食べてもいいよ。モニカもガビーも食べなさい。」
青い目の奥さんと子供にお皿を差し出した。
広海  「ああ、おれが取ってあげるよ。はい、ガビーちゃん。」
ガビー 「アりガトウ・・ヒロミ」
真琴  「ガビーちゃん、はいパンだよ」
広海  「あ、真琴、気がきくじゃん。」
ガビー 「マ・コ・ト?」
真琴  「うん?そうだよ」
ガビー 「オ・ト・コ?」
広海  「あ・あ・あ・あ(笑)、ガビーちゃん、いいこと言うね。
     ほら、もっとお肉食べな」
真琴  「前にも、そんなこと言われたよねえ」


         つづく
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