再び日曜日の朝がやってきた。ラジオのニッポン放送のロイ・ジェームスの「西銀座歌謡ベストテン」で凪は目を覚ました。現在の日本で一番有名な宝くじ売り場のあたりにサテライトスタジオがあって、そこからの生放送でした。内山田洋とクールファイブの「逢わずに愛して」が流れている。去年〈1969年〉友人の父の勤めるTBSを見学した時、リハーサル中の内山田さんが寄ってきた。
「君たち、長崎海星だろ?」と聞かれたことを思い出した。凪の通っていたG学園は、長崎海星とは姉妹校なので、おそらく制服が似ていたのだろう。クールファイブのメンバーはこの制服が懐かしかったのだろう。

さて祖父の友人探索2日目、ミユキも来るというので、飯田橋の駅前から一本裏通りのビルの一階にある餃子会館磐梯山で午前11時に待ち合わせた。店の前で合流して早めの昼食となった。この店は男性は時間内に100個餃子を食べきれば無料となり、賞金1万円がもらえる。女性は50個で無料となり、賞金5千円が出る。記録達成者は店内に名前が貼られている。日本医科大学病院が近くにあるため、看護師さん〈当時は看護婦〉数人の名前があった。
「ミユキちゃん、挑戦してみる?」
「ううん、これから人と会うかもしれないし、やめとくよ」
「ああ、そうだね。昼食餃子にしてごめんね」

「餃子でごめんねえ」と、極真会館で空手を習っている店員さんが会話に入ってきた。
「あ、すいません。そんなつもりで言ったわけじゃないんで・・。彼女にここのおいしい餃子を食べてもらいたくて連れてきたんです」
「わかってるよ、少年。いつもありがとな」
店員さんは、拳をにぎってポーズを決めて笑顔を見せた。
img_0 (19)「お兄さんは空手を習っているんですか」
「おうよ、池袋の極真会館で修行してるよ」
「極真って、大山倍達さんですよね」
「おう、大山総裁はアニメの『空手バカ一代』のモデルだからな」
「大山さんが千葉の清澄山で山籠もりで空手修行して、山を下りてからは館山に住んだんですよね」
「オッ、少年詳しいね」
「大山さんが牛と闘ったのが、館山の八幡海岸で、見学者の中に僕の父がいたんです」
「本当か、すごいじゃねえか。少年の父は伝説の場面を目撃したのか」
「はい」
「そうそう、本部の合宿は館山だもんな」
「はい、安房自然村ですね」
思わず話が盛り上がってしまったが、美味しい餃子ライスを餃子二皿で食べ終わった。

   〈続く〉