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広海   「あ!」
それを見ていた広海の体がプールに走った。
叫び狂う石油王の横をすり抜けて水の中に飛び込んだ。
そして、沈んでいく少女をみつけた。すばやく少女を抱え、
プールサイドまで運んだ。

広海   「清水!救急車!」
清水  「おう!」

プールサイドに上がった広海は、叫び狂う石油王をはねのけた。
そして、少女に対する人工呼吸を行った。
石油王  「おお、私の娘に口づけた!?」

広海は夢中で、少女に対しての人工呼吸を続けた。
石油王は為すすべもなく、初めて見るマウストゥマウスを
驚嘆の様子で見入っていた。

やがて、少女は水を吐き出した。命は取り留めたようだ。

広海   「フ~、清水~!救急車はまだか?」
清水   「いまくる!」


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北京の病院。ベッドに少女がねている。
かたわらに広海がついている。

広海   「こわかったろう?」
少女   「助けてくれたんですね、ありがとう」

広海   「どうして、あんなところに上ったの?」
少女   「きのう、中国のわたしぐらいの子たちが
      飛び込む練習してたのを見たの。
      みんなきれいに飛び込むの。
      わたしにも出来るのかなって思って」

広海   「それで、あんなところまで上っちゃったんだね」
少女   「はい、気が付いたら、めまいがして・・・」

広海   「うん、こんどは泳ぐ練習からはじめようね。
      いきなり、飛び込み台はあぶないからね」
少女   「ハイ」

広海   「素直でなかなかいいね、名前はなんていうの?」
少女   「リン」

広海   「リンちゃんは勇気があるんだね。
      ひとりであそこまで行ったんだから。
      あ、おれは、ヒロミっていうんだ」
少女   「ヒロミ?オンナ?」
広海   「なに?(怒顔) さあさあリンちゃん(笑)、
      おとなしく寝てな」

そこへ石油王が入ってきた。


石油王  「ハ~イ、ヒロミ。娘を助けてくれてありがとう」
広海   「いいんですよ。リンちゃんさあ、
      おれは水泳の応援しなきゃいけないから、行くね」
少女   「ダメダメ、ここにいて、ヒロミ」

石油王  「ヒロミ、きみは娘のいのちの恩人だ。
      娘がさみしがるので、ここでついていてほしい」

広海   「じゃあ、もうすこしだけだよ。ね、」
石油王  「きみには何かお礼をしたい。
      話もあるので、わたしの国にいっしょにきてくれないか?」
広海   「ことわっても、だめそうだなあ」
石油王  「わたしから、責任者には連絡をしておいた。
      きみはなんの心配もいらないから、娘といてくれ」
広海   「じゃあ、行ってみようかな。あなたたちの国へ」
(ブ~~~~ン!上空を飛ぶアラブエアラインの特別機が映し出される)

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