イメージ 1
 
その日の午後、真琴が帰ってきた。
民宿の周りが騒々しかった。警察のパトカーや新聞記者、やじうまもいた。
玄関前にいた春子に気づいた真琴。
真琴  「春子さん、どうしたの?」
春子  「ああ、真琴、ごめんね・・・」

泣き崩れる春子。
真琴  「なにがあったの?」
春子  「民宿あらし・・」
真琴  「ええ!?きのうのお客がそうだったの?」
春子  「ごめんね。朝起きたらぜんぶ持っていかれちゃってたの」

真琴  「ていうことは、わたしの部屋も?」
春子  「うん・・ごめんね」
真琴  「ううん、わたしも留守しちゃったからね。
     春子さんのせいじゃないよ
     とにかく、いまは気持ちの整理をしなきゃ」
春子  「ありがとう・・・」

イメージ 2
 
刑事  「ここの経営者のかたですか?」
春子  「はい」
刑事  「ちょっときかせてください。客は何人でしたか?」
春子  「はい、5人です」
刑事  「名前は覚えてますか?」
春子  「いえ、予約帳もすべて持っていかれちゃいましたから・・」
刑事  「覚えていませんか・・」

真琴  「あ!春子さん、ジャニーズ・・」
春子  「あ、予約のときの名前、真琴覚えてる?」
真琴  「桜井、二宮、大野、相葉、松本っていってた」
刑事  「間違いありませんか?なぜ、あなたは覚えているの?」

真琴  「だってジャニーズのグループのメンバーと同じ名前だったから」
刑事  「桜井、二宮、大野、相葉、松本ですね。
     ちなみに、このグループの名前ってなにかわかる?」
真琴  「はい、あのう『嵐』です」
刑事  「え?アラシ? 民宿あらしのアラシ?
     ふ~む。それは偽名だね、きっと。」

真琴  「ああ、あらしねえ・・・なるほどね」
春子  「もうばっかみたい!」
 
 
真琴  「春子さん、どうする?」
春子  「真琴、あたしは負けないよ。
     いつか春樹が戻ってくるかもしれないんだから、
     この民宿がなくっちゃいけないんだよ。がんばるよ!」
真琴  「うん、がんばろう」

イメージ 3
 
 
話を聞いて、慶子が東京からやってきた。
慶子  「春子ちゃん、たいへんだったわね」
春子  「ご心配かけて、ごめんなさい」

慶子  「きょうは民宿をつづけるかどうか、お話をしにきたの」
春子  「慶子さん、なんとかつづけさせてもらえないかな」

慶子  「あんな人たちがまた来ないともかぎらないし、
     この民宿は町から離れているし、
     男の人がいないと、やっぱり物騒だと思うのよ」
春子  「わたしはここで、春樹を待ってないといけないの。
     春樹のためなら男にだってなるつもりでいます」

慶子  「春子ちゃん・・・・、真琴はどうなの?」
真琴  「わたし・・・ここにいたい。民宿、つづけさせて、おかあさん」

慶子  「春子ちゃん、今度だけは目をつぶります。
     あなたが春樹君を思うように私も真琴の安全を考えているの。
     また危険なことがあったら、
     真琴を引き取ることも考えるけど、それでもいい?」
真琴  「おかあさん・・・・」

春子  「ご心配かけました。
     わたし頑張るから、もう一度やらせてください」



その翌年、民宿ダイヤモンドヘッドは、
真琴の母、慶子の資金調達によって、ふたたび営業ができるようになった。